日本ではそんなに普及してないですが、今日5月1日は、世界的にはメーデーと呼ばれる労働者の祭典が繰り広げられる日です。
アメリカで8時間労働要求のデモが起こったのがきっかけで、以後も労働者の権利を主張する運動やら国民がその時々の要求を掲げ団結と連帯の力を示す日として発展してたようです。
とくに西欧ではこの日を祝日にしている国がほとんどで(日本もそうすりゃGWがより強固になるのにね)、ここフィンランドでもメーデーによるホリデーは確かに踏襲されています。
が。
この国、なーんか甚だしくメーデーを勘違い?してて、とにかくここ二日で街で見た全ての光景が、はっきり言って異様でした。
今からその驚くべき実態を報告いたします・・・
いやもう、生真面目日本人の感覚では理解に苦しむ不可解なことが多すぎて、何から説明してよいやら・・・なのですが。
まず予備知識。
フィン人はこの日のことをメーデーではなく、Vappuという呼び方をします。
朝見てたニュースによると、ヴァップにこめられた意味は大きく わけて二つ。
春の祭典 そして 学生の祭典
・・・ということで、本日の主役は労働者ではなく、学生たちであり、春を待ち望んだ国民みんななのです。
なるほど、確かに最近ようやく春めいてきたからこの時期に春の祭典はありか・・・と思いきや、最近はまためっきり寒くなって、朝夕は相変わらずオタニエミですらマイナス温度を彷徨い、局地的に雪もまだまだ報告されてます。
それでも、毎年なぜかこのvappuだけは概ねいいお天気に恵まれるんだそうです。
で、フィンのメーデーもといヴァップは、なんと4月30日の夕方から始まります。
実質学生はこの日から二日間ホリデーで(労働者は30日までしっかり働いているというひねくれた事実・・・)朝から街に繰り出し準備をするわけですが、この日のヴァップ開幕宣言ともなる公式伝統行事が
街の銅像を学生が洗い、学生帽をかぶせる
という、聞くだけでは極めて理解に苦しむ洗礼儀式だそうです。
とりわけヘルシンキでは、バルト海の乙女の俗称でお馴染みエテラ港の銅像がターゲットで、大学生たちは夕方5時以降にそこに招集令がかかっていました。
では、百聞は一見にしかず・・・ということで見ていただきましょう。
今、クレーンで吊り上げられた遊園地のアトラクションみたいなのに包囲されているのが、ターゲットであられるバルト海の乙女さんです。
で、そのアトラクションもどきを拡大してよく見てみてください。
でっかい白学生帽型のUFOに、色とりどりのつなぎを着た学生が数名ぶら下がっているのがお分かりでしょうか?
この帽子型マシーンに吊るされた学生たちは、クレーンに操られるがままゆっくりと銅像に接近していき・・・
確かに銅像を洗ってました。
・・・でもむしろ、もっと汚してるようにもみえなくもない。
パイカうんち写真
ちなみにこの洗礼儀式は、ヘルシンキ内の大学数校が毎年当番制で行います。
栄えある今年の担当校は、なんと我らがTKK!!
なので現場では特にTKKサポーター勢力が頑張ってました。
吊るされた学生は各学部から一人ずつ選ばれしメンバーのようです。
阪大で卒業式のときに各学部から選ばれる総代さんは、あのかっこいいマントと帽子が着れるということで皆の憧れの的?ですが、この国ではこんな素敵な特典が得られますよ!
え、絶対嫌ですか?
それにしても、このくだらなすぎる帽子型マシーンを発明したのは誰なんだろう。
世界にその名を発信するヘルシンキ工科大学のてくのろじーは時に末恐ろしいものを開発することよ・・・
電話ボックスの上にも観客。
そして六時。運命の瞬間。
周囲の交通が全てストップかけられ、エスプラナーディ通りにつめかけたあふれんばかりの人が固唾を呑んで見守る中、
ついに
ついにっ
乙女に帽子がかぶせられたーーー!!!
その瞬間、誰もが声を枯らして歓喜の声をあげ、ヘルシンキが空前絶後の熱気と興奮に包まれる・・・
わーーーーーーーー!!!!!
・・・て
どうして銅像が帽子をかぶるというそれだけのことに、この国民はここまで熱くなれるのか。
そもそも
どうして銅像に帽子をかぶせるためだけに、こんなに大掛かりな装置を用意し、交通を麻痺させてまで市民がこぞって見守りに来るのか。
この事態のおおげさっぷりと実際行われてる作業の地味さのギャップは、ぶっちゃけ爆笑ものでした。
あ、ちなみに、乙女がかぶったのでみんなも一斉に帽子をかぶります。この白帽子は、この国で高校卒業試験をパスした国民全員に与えられる由緒ある帽子で、この国での学生のシンボルアイテムとなっています。
ノーマルな日でも、これを普通にかぶって街を歩いている人にしばしば遭遇します。
もう、彼らにとってこれはおしゃれマストアイテムなのかもしれん・・・。
そしてこれまでにも紹介したことあったかと思いますが、制服なるもののないこの国の学生(主に大学生)のユニフォームはもっぱらつなぎ(オーバーオール)。
各大学の学部ごと、ギルドごとに色デザインが統一されてて、それを着て街を歩けることは学生の集団帰属の証であり、誇りなのです。
別にこの日に限らず、この国では年がら年中つなぎを着て街を歩いていてもちっともおかしな目で見られません。
で、実は・・・
えへへ、こんなに馬鹿にした客観的にレポートしてますが、私もちゃっかりフィン人と身も心も同化してその場を楽しんでました♪
つなぎは、シェアメイトのアンネッタのを一着借りたんです。
こうやって下半身だけきて袖をベルト代わりにくくっとくのが、つなぎのフィン流ナウい着こなし方です。
しかもmoiTシャツ、しかも髪に国旗!どんだけこの国愛しとるねん、て感じですね。
"歩行フィールドのヘルメット"
だって実際、色気もなーんもないつなぎを誇らしげに着て街を練り歩いて、さらにこんなくだらんことに一生懸命になるこの国が愛おしくてたまらないんですもの。
ともあれ、こうして乙女の着帽と共に街は総力をあげてお祭モードに。
さぁこれから二夜に渡って繰り広げられる世界有数のcrazy祭、vappuの開幕です!!
やはり人の多くはここ、元老院広場にまず集まってきます。
大聖堂前の階段がここまで人で埋まると圧巻ですね。
うーむ、ムスカのあの名ゼリフが頭をよぎります。
ええと、この日はこのあとクラスの子たちとバー行って、飲んで食べて、比較的健全な時間中に大人しくオタニエミに帰ってきました。
が、この後夜のヘルシンキは例年どえらいことになっているのです。
あ、ここからちょっとシリアスな話。
なんせ、学生という学生(およびそれに便乗した大人たち)が街をビール片手に練り歩き、夜通し、言葉通り飲んだくれるので、街の秩序が完全に崩壊します。
フィンランド人は、間違いなく普段と飲んだときのギャップ世界一の国民でして、正直酒の入ったフィン人ほどたちの悪い人種はなかなかいないのではと思います。
とにかく、普段寡黙でお人よしでシャイなぶん、彼らにとって「飲む� �ということは、「酔っ払って普段のテンションから脱出する」ことに他ならないみたいです。ぶっちゃけ手がつけられないし、極力近寄りたくないです・・・いや、もちろん国民全員がそうだとは言いませんけども。
正直、飲んで浮かれた奴がやらかすことは何でも許される・・・というかなーり迷惑な風潮がこの国では普通にまかり通っていて、まして今日みたいな日は何が起こってもおかしくないし、何が起こっても冷静すみやかにポリスマンたちが対応すべく、最初から街中にパトカー駐在待機させてあるんです。
ストックマンなんかのガラスが割られるのも店側承知の恒例行事だとか聞きました。
いくらなんでもこれってどうなんだろう・・・
ともあれ、そんな暴風吹き荒れる夜の現� ��に遭遇する前に大和撫子はさっさと退散。
さて、嵐の一夜が更け、気を取り直してvappu本番である5月1日ですが。
この日の国内共通メインイベントは、なんと
ピクニック〜♪
ピクニックが祝日の国民指定行事って、その平和すぎる発想にはびっくりさせられます(そしてつくづく昨夜とのギャップに呆れる・・・)。
ともかく、この日はみんな各々お弁当?やらグリルマシーンを持って街の公園やお気に入りの自然満喫スポットに繰り出します。
緑地の少ない(?)首都ヘルシンキでは、街の憩いの場、カイヴォ公園が伝統的にピクニックターゲット場所となります。
今年はお天気が心配されていたけど、なんのことはない、今日は朝から快晴の清清しいピクニック日和。さすがvappuパワー。
でも気温はちょっと低めか。
私も有り合わせで作ったお弁当と飲み物持って、ミヒャエラたちと公園に向かいました。
ショック首輪と犬の訓練とcrualty
今日は正式な祝日なので、オープンしてるのは一部のカフェやレストラン・バーくらいなのですが、やっぱり街はどこも出歩く人でとってもにぎやか。
通りのカフェもこの通り日光浴を楽しむ人でいっぱいです。
で、どうやら今日は、学生に限らず大人たちもかつて(人によっては数十年前?)に得た学生帽をかぶるのが良しとされるみたいです。
過去の栄光ここにありき・・・なんでしょうか?
こんないい年した老夫婦さんまでが何の恥じらいもなく学生のシンボルを着帽して仲良く手をつないで歩いていたりして、もはやとても微笑ましいです^^
マーケット界隈は今日ばかりは休日とはいえ盛り上がっているご様子。
このサンタさんの持つプラカードには、「演説運動禁止」みたいなことが書かれています・・・
もはやどんだけ当初の今日という日の目的を無視してるのかこの国民は・・・
あれ、いつの間にか銅像は脱帽してました。早。
さてさて、概ね街中の人の流れはやはり一箇所を目指していて、
こここそが、ピクニックのメッカ、カイボ公園です。
あっちにも
こっちにも
・・・おいおい
いくらなんでも
人いすぎやしませんか!?
この公園はかなり敷地面積は広くて、そのくせ普段はほとんど人気のないかなりひっそりと静まった公園・・・なはずなんです。
そこに今、ヘルシンキ近郊の総人口の何割が集まって、一斉にのん気にピクニックなんぞしているのだろう・・・
まあでも、こんだけ人がいながらも、各々は我関せずとマイペースに、たのしそ〜〜にお日様を目一杯浴びてピクニックを楽しんでいるので可笑しいです。まあ、結構ここでも飲んだくれてる人はいるけども。
面白いのが、日本だったらお花見とかこの手の屋外レクリエーションスポットには、こぞって露天や屋台が立ち並ぶじゃないですか。
でもここには風船売りさんが立ってるくらいで、一切客相手に食べ物なんかを売ってる人はいないんです。あくまで、皆自己完結。なんとフィンランドらしいことか(笑)
ダンスを興じる人もいれば、愉快に歌を歌うグループも多数。
まーとにかく皆さん楽しそうで何より。
フィン人さんたちのテンションには適わないけど、とりあえず私たちも便乗できて満足満足^^
このあと、マサさんフクさんがかなーり遅れて駆けつけたのですが、その頃には欧米勢はみんなもう帰っちゃって、おまけに風がきつくなって一気に冷え込み始めたので、3分だけピクニック二次会を楽しんで、そのまま日本人5人でかもめ食堂に駆け込み、
ここは引き続き陽だまりの中のピクニック会場だ〜・・・と己に暗示をかけつつ、
閉店時間まで大富豪に燃えてました。
・・・なんて日本人らしいvappuのフィナーレなんだ・・・。
しかし今日の私は強かった♪都落ち知らず。
そういえば、店のおばちゃんがvappuの飲み物Simaを一杯サービスしてくれました^^
Simaは、イーストで発酵させる、作り方は凝ってるくせに味はまあ普通のシロップ水(ものによってはアルコール入り)、て感じのフィン伝統飲み物でした。
はい、以上が私の目の当たりにしたフィンランド流正しいvappuの祝い方、でした。
目の当たりにするまではちんぷんかんぷんなメニューばかりでしたが、全ては噂どおりで、百聞は一見にしかず・・・でした。
総じて、この国民の「くだらないことに全力で取り組み、楽しみ尽くす精神」をまざまざと見せ付けられた貴重な二日間でした。
オーケストラ楽器学で言えば、この国民は生粋のビオラ弾きタイプであると確信しました。間違いなくそうでしょ?
今回の行事に限らず、例えばこんなこと(項目10-5を参照のこと)に本� ��で取り組むのって、オケでは絶対うちらだけでしょ??身内ネタで恐縮ですが、同意募集中。
ともかく結論は
ちょっと滑稽でお気楽で色気なくてマイペースでお馬鹿さんなフィンランド人さんが、私は大好きです。
ということです、ええ。
むしろ同じにおいを感じてやみません。
やっぱり私、前世はフィン人だったんかな?
今夜は満月がとびきりきれいーー!
1/5 Tiistaina Vappu 21:50
Ayana@otaniemi,fi
0 件のコメント:
コメントを投稿